
パフォーマンス・エンハンスメント・コーチング(Performance Enhancement Coaching)は、通称TICE(タイス)コーチングと呼ばれています。
その創始者はアメリカのルー・タイス氏ですが、残念ながらすでに故人となっています。
一般的にメンタル・トレーニングのベースが心理学であるとすれば、TICEコーチングのベースは認知科学にあります。
心理学はもともとケーススタディ(事例研究)に基づいています。
たとえば、Aという箱に緑色のボールを入れたとき、底からどんな色のボールが出てくるかを検証するとします。100万回試すと、高確率で黄色のボールが出てきて、低確率で赤色、さらにごく稀に黒や青色のボールが出てくる。
その結果、「Aの箱に緑のボールを入れると黄色のボールが出やすい」という傾向は導き出されますが、「なぜそうなるのか」─ 箱の中の仕組みについては検証されず、謎のまま残ります。
一方で認知科学は、まさにその「箱の中で何が起きているのか」に注目します。
ここでの「箱」=「脳」です。脳の中で何が起きているのかがわかれば、なぜ高確率で黄色のボールが出るのか、なぜたまに黒いボールが出るのか、その理由も明確になります。
たとえば、
「あなたはAタイプだから、“VI”という方法をとれば良い結果が出ます」
というアドバイスは本当に正しいのでしょうか?
「あなたはAタイプ」≠「あなたそのものがAタイプ」です。
正確には 「あなた ≒ Aタイプ」 にすぎません。
また、「Aタイプには“VI”という方法が効く」 という関係性も絶対的なものではありません。
そもそも「あなたが本当にAタイプなのか」すら曖昧なまま、「“VI”という方法が最適だ」とは断言できないのです。
もしそう考えると、「タイプ」と「方法」の組み合わせは無限に存在してしまいます。
TICEコーチングでは、自分をどこかの型にはめ込むのでも、誰かに正解を与えてもらうのでもありません。
「自分はどうなりたいのか」
「そのために何が必要なのか」
相談者自身が、自ら原因と解決策を見つけ出すプロセスをサポートします。
これが認知科学に基づいたコーチングのアプローチです。
私はアスレティック・トレーナーとしてフィジカル面(カラダ)の指導を行っていますが、経験を重ねるにつれ、身体だけでは解決できない問題にたびたび直面するようになりました。
「どうすればよいのだろう……」と思っていたときに出会ったのが、認知科学という学問でした。「これだ!」と確信し、2021年6月にTICEコーチ資格を取得しました。
いまでは、フィジカル(カラダ)だけでなく、メンタル(ココロ)の側面からも、皆さんのパフォーマンス向上と課題解決に貢献できるよう取り組んでいます。
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